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2006年10月20日 (金)

ズ02 ぼくらはズッコケ探偵団

Back02第2巻です。
おそらくシリーズ化を想定してなかった前巻から1年後の刊行。ある意味でズッコケシリーズのスタートです。
で、いきなり探偵です。チビッ子が読むお話の王道と言える探偵がさっそく登場です。

学生街以外の呑み屋に行ったことがある人なら誰でも知ってることですが、日本中の酒場では毎夜、石を投げれば当たる程の数の自称「元ガキ大将」がオダをあげています。九十年代初頭の吉田栄作氏ほどではなくても、そこらじゅうのオヤジが古き良き「ガキ大将時代」の活躍を吹聴しています。これが、僕がお酒をおぼえた当初からずっと不思議なんです。
オヤジどもの話が真実だとすれば大将と雑兵の比率が不自然だとか、そんなことではありません。ストレスまみれの男が酒を呑んでハッタリのひとつも吹かないわけがありません。誰も聞きたくない下らない自慢話を延々と吐くために人は呑むのだということくらい、大人の真似をはじめたグリーンボーイでも理解できることです。
不思議なのはそんなことではなく、元「ガキ大将」は掃いて捨てるほどいるのに、元「探偵団員」が皆無だということです。事実、夜の街に出入りするようになって十年以上になりますが、元探偵団員を自称する酔っ払いは、僕以外では見たことがありません。どういうことでしょう?
「輝かしい少年時代」を捏造したいなら、「少年の心を無くしていない大人の男」を演じたいのなら、洟垂れを従えて行進した話なんかより、自分の捜査した事件の複雑な構造を解説する方がずっと早いのに。
おそらく、悪しきイデオロギー、子供の世界は腕力への信仰を中心に形成されるはずだという誤った観念に毒されてしまってるんでしょう。断じて違います。自分の周囲にどれだけたくさんの探査されるべき謎を巡らせられるかによって、少年の栄光と威厳は決まるのです。ミステリーに恵まれないデベソの後をついてまわるほど少年は暇ではないはずです。

今回読み直して、小学校当時、僕の探偵団活動はこの本からかなり影響を受けたことを思い出しました。『SOS地底より』という名著に匹敵します。
大屋敷での大事件・特権的な形での事件との遭遇・クラスの女子の掛かり合い・年上のお姉さん・理解あるお兄さん・論理的な推理・無理のない勇敢さ……基本的な要素が揃っています。足りないのは警察との協力関係くらいでしょうか。

ということで、あなたがオヤジなら、今からでもこれを読んで、古きよき探偵団時代の思い出を捏造することをお勧めします。自分の子供に語って聞かせるなら、従順な手下たちのことよりも、謎に満ちた世界での刺激と魅惑に包まれた毎日のことを話し、同じように謎に恵まれた生へと子供を誘う方がずっとマシだろうと思います。事実、探偵団員でない少年なんて、なんのために少年をやってるのかわからないくらい意味のない存在なんですから。
浮気調査やらなんやらが探偵の主な仕事であり、警視庁の警部に一目置かれる私立探偵なんて存在しないと知った瞬間に、僕は大人の世界に踏み出した気がします。それでもなお、僕は今でも探偵のつもりです。現在の職業など、いつでも放り出せる仮の姿です。身の回りで事件が起こらず、奇妙な依頼者が尋ねてこないだけなんです。

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